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伝わらない原因 「自分が伝えたいこと=お客様が知りたいこと」ではない

【伝わらない原因】「自分が伝えたいこと=お客様が知りたいこと」ではない
bluefield1218
あむにゃん
あむにゃん

対処療法的なテクニックじゃなくて、お客様の悩みの本質や根本的な解決法をわかってもらうには、どうすればいいんだろう…

こずえ
こずえ

専門性の高い人は問題の本質がわかっているから、そう思うのも当然だよね

こずえ
こずえ

ただ、その場合はいきなり核心をつくのではなく、順を追って丁寧に説明することが大事だよ。具体的に解説するね

問題の本質を伝えるときのポイント

専門性の高い仕事をしていると、お客様が抱える悩みの「本質的な問題」が見えてきますよね。

それをインスタグラムやブログなどで説明するときには、次の2つを意識する必要があります。

(1)お客様の心理
(2)順を追った説明

今回はこの2つを押さえた伝え方を、詳しく説明します。

本質的な解決法を伝えたい

気づいている問題しか検索できない

「自分が伝えたいこと=お客様が知りたいこと」とは限らない。

インスタやブログで発信するときには、まずこの点を常に意識してほしいと思います。

お客様が検索するキーワードを考える

たとえば「体を引き締めたいのに、いつも挫折してしまうAさん」がいたとします。

この場合、Aさんが知りたいのは「挫折しない筋トレ法」です。だからなるべく簡単で、自分でもできそうな筋トレ法を日々検索しています。

このときの検索キーワードは、次のようなものになるはず。

Aさんの検索キーワード
  • 挫折しない / 筋トレ
  • 簡単 / 筋トレ

悩みを抱えている人は、その場で思いつくキーワードを使って検索するので、「自分が気づいている問題」の解決法しかリサーチできません。

「気づいていない問題」は検索するためのキーワードが思い浮かばないので、リサーチしようがないからです。

これが基本的なお客様の気持ちと行動です。

思いつくキーワードで検索

お客様は「問題の本質」を知らない

一方、お客様を理想の体型に導く、トレーナーのBさんがいたとします。

Bさんにサポートしてもらえば、これまでくじけていた人でも、挫折することなく体を引き締められると評判です。

なぜそんなことが可能かというと、筋トレを実践すると同時に、お客様の「自己肯定感」もアップさせているから。

Bさんが知っている問題の本質

筋トレに挫折する人は、自分のがんばりを認められなかったり、自分を否定する癖がある。つまり自己肯定感の低さが原因で、簡単な筋トレも続けることができない。

長年トレーナーとして活躍してきたBさんは、経験上、挫折する人の問題の本質がわかっています。

だから筋トレを教えると同時に、お客様の自己肯定感を上げるプログラムを導入しています(※実在するプログラムではありません。解説用に考えた架空のメソッドです)

ただ、ここからが問題です。

Bさんがインスタやブログで発信しているのは、自己肯定感の上げ方ばかり。

インスタだと「自己肯定感 爆上げ5選」、ブログだと「自己肯定感を上げるためにできる5つのこと」といったタイトルの投稿が並んでいます。

Bさん自身は、お客様のためにと思って自己肯定感の発信をしていますが、その発信はAさんが「気づいていない問題」です。

発信している内容と、Aさんが知りたいことがズレてしまっています。

発信内容がズレている

発信がズレると、お客様に認知されない

Aさんは、「筋トレ」と「自己肯定感」が深く結びついていることを知りません。

だから検索しようがないし、仮にBさんのインスタやブログを目にする機会があっても、自己肯定感の発信ばかりだとピンとこない。

むしろ「この人が言っていることは自分には関係ない」と思ってしまいます。

この悲しいすれ違いは、どうやって解決すればいいのでしょうか?

発信のズレを解消する方法

発信のズレを解消するためには、お客様の意識が自然と「自己肯定感」に向かうように、順序立てて丁寧に伝えることが大切です。

【インスタ&ブログ】タイトルの訴求法

まずタイトルには、お客様が知りたいと思っていることや、すでに「気づいている問題」に関するキーワードを入れましょう。

タイトル例

インスタ
※お客様の興味を引く、端的でインパクトのある表現をする

「超絶簡単! 1分でぽっこりお腹、撃退」

ブログ
※検索キーワードをタイトルに含めるSEO対策をする

「毎日たった1分! ぽっこりお腹が引き締まる、挫折しない簡単・筋トレ法」

インスタとブログでは、タイトルの細かいテクニックは異なります。

ただ、どちらも「自己肯定感」ではなく、お客様が「気づいている問題」にフォーカスすることがポイントです。

本文の訴求法

次に、本文の訴求方法です。

本文では、次のように順序だてて伝えていくことが大事です。

順序立てて伝える例

(1)まずは簡単にできる筋トレ法を紹介
お客様の知りたいことに答える

例)毎日たった1分で、簡単にぽっこりお腹を引き締められる筋トレ法はコレ。

(2)簡単でも続けられない人には共通点があると伝える
お客様に「気づき」を提供する

例)でも実は、簡単なのに続けられないケースがあります。それは自己肯定感が低いケースです。これは今まで約〇人のサポートをしてきたからこそ、見えてきた共通点です。

(3)なぜ続けられないのか、理由を伝える
お客様の「課題の本質」を伝える

課題の本質を順番に伝える例

例)なぜ自己肯定感が低いと、簡単な筋トレでも挫折してしまうのでしょうか?

1)まず挫折する人は、自分にダメ出しをしている人が多いです。

2)つまり、どれだけがんばっていても挫折する未来をイメージしてしまう。

3)するとイメージ通り本当に挫折してしまい、さらに自分はダメだと思い込みます。

4)この悪循環を断ち切るために必要なのは、筋トレと同時に自己肯定感を上げるアプローチ。

5)それが、挫折することなく体を引き締める方法です。

6)そこで私のインスタやブログでは、自己肯定感をアップさせるテクニックも紹介しています。ぜひチェックしてくださいね!(リンクなどを貼る) 

インスタであれば固定投稿にしたり、ハイライトでその投稿をいつでも見られるようにしたり。

ブログであれば、まずはその投稿を見てもらう仕組みや導線をつくっておけば、具体的なテクニックで興味を持ってもらいつつ、自己肯定感の必要性も伝えられます。

お客様の気持ちを追ってみる

なぜこうした手間をかけて伝えるのでしょうか?

この順序で伝えられたときの「お客様の気持ち」を想像してみましょう。

お客様の気持ちを想像する

(1)まずは簡単にできる筋トレ法を紹介

お客様心理

「 これなら私でも簡単にできそう」

(2)簡単でも続けられない人には共通点があると伝える

お客様心理

「え、簡単そうなのに続けられないの? 自己肯定感が共通点? どういうこと?」

(3)なぜ続けられないのか、理由を伝える

お客様心理

「そういえば私も自分にダメ出ししてる。どうすれば筋トレと同時に自己肯定感をアップできるんだろう? この人の他の発信もチェックしてみよう!」

お客様の気持ちになって考えると、自分が知りたいことを満たしてもらえてはじめて、新しい「気づき」を受け入れる余裕が生まれます。

自分より先に、お客様を満たす

先に「相手が知りたいこと」に答える

これはビジネスでなくても同じこと。一度、視点をビジネスと切り離してみましょう。

たとえば、あなたが高校生だったとします。

数学の問題が解けなくて先生に質問しに行ったら、問題の解き方ではなく「勉強のやり方」や「生活習慣」をただすよう言われました。

このとき、どう感じますか?

「いやいや、知りたいのは問題の解き方やねん…」と思うのではないでしょうか。

先生のほうは、成績が上がらないのは勉強のやり方や生活習慣に問題があるからだとわかっている。

だからよかれと思って、先回りして、本質的なアドバイスしてしまう。

この場合、生徒には勉強する意欲があり、先生にも教える熱意があります。どちらも悪くありませんよね。

でも、2人はすれ違っています。

相手に届きやすい「順序」がある

この悲しいすれ違いを防ぐためには、まずはお客様が知りたいことに答え、その上で新たな気づきを得てもらい、問題の本質を理解してもらう。

この順番が重要なんです。

伝える順番が大事

お客様の気持ちを想像して段階を踏めば、結果的に自分が伝えたいことが相手に届きます。

これはSNSやブログだけでなく、メルマガやLPでも同じです。

問題の本質に迫りたいときや、核心をついた発信をしたいときには、「お客様心理」と「その心理に沿った説明」を意識してみてくださいね。

Profile
青野 梢
青野 梢
伝わる文章づくりのパートナー
個人事業のキャリアサポーター
1981年、愛媛県生まれ。住宅設備メーカーで提案型の接客を経験後、31歳のときに未経験からフリーランスのライターに転身。

サンケイリビング新聞社が発行する広告媒体の編集を経て、インタビュー記事の執筆にも取り組む。女性のライフ&キャリアを応援するWebメディア「日経ウーマンオンライン」や「日経xwoman」の執筆・編集にも従事。

専門分野であるキャリア形成を体系的に学ぶため、国家資格キャリアコンサルタントを取得。ビジネス書の編集も手掛ける。これまで書いた記事は800本を超え、インタビューした人は300人以上。

取材相手からは「気づきの多い時間だった」「頭の中をスッキリ整理できた」という言葉をもらうことが多く、対話を通してその人の人生や思いを深く掘り下げることが得意。

現在は約10年のライティング&インタビュー経験を生かし、伝わる文章づくりをサポートするサービス「Amu(あむ)」を展開。起業家・フリーランス向けの文章&発信術や、ライター向けの取材&執筆術を伝えている。
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