【表現力アップ】文章は「素材」で決まる 言葉選び&言い回しより大事なこと
表現力がないから、ブログを書いてもうまく伝わってる気がしない。言葉選びのセンスもないし…
文章の表現力は、細かな「言葉選び」や「言い回し」だけでは決まらないよ
え…シャレた言葉とか、キレイな言い回しとかあるでしょ!
選んだ言葉や言い回しが輝くためには、前提として「書く素材」が重要なんだよ。例文付きで詳しく解説するね
表現力は誤解されている
文章の表現力は「言葉選び」や「言い回し」で決まる。
多くの方がそう誤解しがちですが、言葉選びや言い回しをいくら工夫しても、その土台である「素材選び」がおろそかになっていると、相手の心に響く文章にはなりません。
どういうことか、私自身の経歴を例にして具体的に説明していきますね。
【例文解説】事実だけを伝える文章
私は20代の頃は接客の仕事をしていて、31歳で未経験からフリーランスのライターに転身しました。
この経緯を伝える文章を例に、表現力のキモとなる「書く素材」の大切さをお伝えします。
まずは、こちらの例文を読んでみてください。
20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。
けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターに挑戦し、夢を叶えることができました。
未経験からライターに挑戦したことを伝える、いたって普通の文章です。
でも見方を変えれば、「事実」しか伝わらない文章ともいえます。
【例文解説】背景や事情も伝える文章
つづいては、こちらの文章をお読みください。
10代の頃からインタビュー雑誌や本を読むことが好きだったので、ライターの仕事に憧れていました。
けれど自分に自信がなかった私は、やりたい仕事に挑戦する勇気を持てず…。20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。
そして苦手だった接客の仕事を、我慢しながら続けていたある日のこと。
就業中に動悸と手の震えが止まらなくなり、心身ともに限界を迎えた私は、人生で一番悩んだ末に退職を決意。
苦手な仕事を無理に続けることはやめて、昔からやりたかったライターの仕事に挑戦して夢を叶えました。
「例文1」と「例文2」、どちらが表現力がある文章だと感じましたか?
おそらく「例文2」のほうだと思います。
この表現力の差は、単語や言い回しを変えただけでは埋まりません。
実際に、例文1の単語や言い回しを、少し工夫した表現に直してみましょう。
単語や言い回しの工夫≠表現力
まずは、元の文章です。
20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。
けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターに挑戦し、夢を叶えることができました。
【例文解説】単語や言い回しを工夫
この文章を少し工夫して、単語や言い回しを変えてみました。変更箇所は、文字の色を緑にしています。
20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで、お客様の理想の家づくりのお手伝いをしていました。
けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターにチャレンジし、夢を実現することができました。
内容が濃いからこそ、細部の工夫が輝く
見比べてみて、文章に深みは出ているでしょうか?
「接客の仕事」を「理想の家づくりのお手伝い」に変えると、少し印象は変わるかもしれません。
けれど文章全体を読んだときに、圧倒的に印象に残って、読み応えのある文章に変化した…わけではありませんよね。
文章を書くとき、一つ一つの単語や、些細な言い回しにこだわってしまうことはよくあります。
もちろんちょっとした印象の違いはありますが、そのこだわりが生きるのは、書く内容が濃いからこそ。
細部を調整する前に、どんなエピソードを文章に盛り込むか(=素材選び)に力を入れる必要があるんです。
先ほどの「例文1」と「例文2」では、文章内にある素材の量と質が違います。
書かれてある「素材」に注目しながら、もう一度みてみましょう。
表現力は、書く素材で決まる
「背景」や「事情」が文章の立体感に
緑で書かれてある部分が、「例文2」だけに盛り込まれている素材です。
10代の頃からインタビュー雑誌や本を読むことが好きだったので、ライターの仕事に憧れていました。
けれど自分に自信がなかった私は、やりたい仕事に挑戦する勇気を持てず…。20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。
そして苦手だった接客の仕事を、我慢しながら続けていたある日のこと。
就業中に動悸と手の震えが止まらなくなり、心身ともに限界を迎えた私は、人生で一番悩んだ末に退職を決意。
苦手な仕事を無理に続けることはやめて、昔からやりたかったライターの仕事に挑戦して夢を叶えました。
「例文1」と「例文2」の素材を比較した図もご確認ください。
「立体感」が表現力になる
「例文2」は、新たに3つの素材が追加されています。
この3つの素材で描かれているのは、未経験からライターになった事実の裏にある、「背景」や「事情」です。
- なぜライターになろうと思ったのか?
- ライターになったきっかけは?
- そのときの心情や行動は?
といった、その人ならではの背景や事情も一緒に書くと、経験や人柄が立体的に伝わる文章になります。
その立体感が、「表現力」として読み手に伝わるのです。
どのように書くかより、何を書くか
「未経験からライターに転身しました!」という事実だけを伝えられると、人は「ふーん、そうですか」としか思いません。
事実から背景を汲み取ってもらえるのは、汲み取れるだけの関係値がすでにある人だけです。
そのため面識のない人に向けて書く場合は、先に背景や事情を丁寧に描いておくことが大切です。
事実と一緒に背景や事情を描いておくと、読み手に自分の状況や気持ちを汲み取ってもらいやすくなります。
言葉選びや言い回しに頭を悩ませる前に、まずはどんな素材を選んで書くかを厳選する。
つまり「どのように」書くかよりも、「何を」書くかで表現力は決まります。
立体的に伝わるよう、書く素材を丁寧に選ぶ。それが表現力アップの近道です。