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【表現力アップ】文章は「素材」で決まる 言葉選び&言い回しより大事なこと 

【表現力アップ】文章は「素材」で決まる 言葉選び&言い回しより大事なこと
bluefield1218
あむにゃん
あむにゃん

表現力がないから、ブログを書いてもうまく伝わってる気がしない。言葉選びのセンスもないし…

こずえ
こずえ

文章の表現力は、細かな「言葉選び」や「言い回し」だけでは決まらないよ

あむにゃん
あむにゃん

え…シャレた言葉とか、キレイな言い回しとかあるでしょ!

こずえ
こずえ

選んだ言葉や言い回しが輝くためには、前提として「書く素材」が重要なんだよ。例文付きで詳しく解説するね

表現力は誤解されている

文章の表現力は「言葉選び」や「言い回し」で決まる。

多くの方がそう誤解しがちですが、言葉選びや言い回しをいくら工夫しても、その土台である「素材選び」がおろそかになっていると、相手の心に響く文章にはなりません。

どういうことか、私自身の経歴を例にして具体的に説明していきますね。

【例文解説】事実だけを伝える文章

私は20代の頃は接客の仕事をしていて、31歳で未経験からフリーランスのライターに転身しました。

この経緯を伝える文章を例に、表現力のキモとなる「書く素材」の大切さをお伝えします。

まずは、こちらの例文を読んでみてください。

例文1:事実だけを伝える文章

20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。

けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターに挑戦し、夢を叶えることができました。

未経験からライターに挑戦したことを伝える、いたって普通の文章です。

でも見方を変えれば、「事実」しか伝わらない文章ともいえます。

【例文解説】背景や事情も伝える文章

つづいては、こちらの文章をお読みください。

例文2:背景や事情も伝える文章

10代の頃からインタビュー雑誌や本を読むことが好きだったので、ライターの仕事に憧れていました。

けれど自分に自信がなかった私は、やりたい仕事に挑戦する勇気を持てず…。20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。

そして苦手だった接客の仕事を、我慢しながら続けていたある日のこと。

就業中に動悸と手の震えが止まらなくなり、心身ともに限界を迎えた私は、人生で一番悩んだ末に退職を決意。

苦手な仕事を無理に続けることはやめて、昔からやりたかったライターの仕事に挑戦して夢を叶えました。

「例文1」と「例文2」、どちらが表現力がある文章だと感じましたか?

おそらく「例文2」のほうだと思います。

この表現力の差は、単語や言い回しを変えただけでは埋まりません。

実際に、例文1の単語や言い回しを、少し工夫した表現に直してみましょう。

単語や言い回しの工夫≠表現力

まずは、元の文章です。

例文1-A:元の文章

20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。

けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターに挑戦し、夢を叶えることができました。

【例文解説】単語や言い回しを工夫

この文章を少し工夫して、単語や言い回しを変えてみました。変更箇所は、文字の色を緑にしています。

例文1-B:単語や言い回しを変更

20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで、お客様の理想の家づくりのお手伝いをしていました。

けれど昔からライターになりたかったので、未経験からライターにチャレンジし、夢を実現することができました。

内容が濃いからこそ、細部の工夫が輝く

見比べてみて、文章に深みは出ているでしょうか?

「接客の仕事」を「理想の家づくりのお手伝い」に変えると、少し印象は変わるかもしれません。

けれど文章全体を読んだときに、圧倒的に印象に残って、読み応えのある文章に変化した…わけではありませんよね。

文章を書くとき、一つ一つの単語や、些細な言い回しにこだわってしまうことはよくあります。

もちろんちょっとした印象の違いはありますが、そのこだわりが生きるのは、書く内容が濃いからこそ。

細部を調整する前に、どんなエピソードを文章に盛り込むか(=素材選び)に力を入れる必要があるんです。

先ほどの「例文1」と「例文2」では、文章内にある素材の量と質が違います。

書かれてある「素材」に注目しながら、もう一度みてみましょう。

表現力は、書く素材で決まる

「背景」や「事情」が文章の立体感に

緑で書かれてある部分が、「例文2」だけに盛り込まれている素材です。

「例文2」だけに盛り込まれている素材

10代の頃からインタビュー雑誌や本を読むことが好きだったので、ライターの仕事に憧れていました。

けれど自分に自信がなかった私は、やりたい仕事に挑戦する勇気を持てず…。20代の頃は、キッチンなどを製造するメーカーのショールームで接客の仕事をしていました。

そして苦手だった接客の仕事を、我慢しながら続けていたある日のこと。

就業中に動悸と手の震えが止まらなくなり、心身ともに限界を迎えた私は、人生で一番悩んだ末に退職を決意。


苦手な仕事を無理に続けることはやめて、昔からやりたかったライターの仕事に挑戦して夢を叶えました。

「例文1」と「例文2」の素材を比較した図もご確認ください。

文章の表現力は素材で決まる「素材の比較」

「立体感」が表現力になる

「例文2」は、新たに3つの素材が追加されています。

この3つの素材で描かれているのは、未経験からライターになった事実の裏にある、「背景」や「事情」です。

  • なぜライターになろうと思ったのか?
  • ライターになったきっかけは?
  • そのときの心情や行動は?

といった、その人ならではの背景や事情も一緒に書くと、経験や人柄が立体的に伝わる文章になります。

その立体感が、「表現力」として読み手に伝わるのです。

どのように書くかより、何を書くか

「未経験からライターに転身しました!」という事実だけを伝えられると、人は「ふーん、そうですか」としか思いません。

事実から背景を汲み取ってもらえるのは、汲み取れるだけの関係値がすでにある人だけです。

そのため面識のない人に向けて書く場合は、先に背景や事情を丁寧に描いておくことが大切です。

事実と一緒に背景や事情を描いておくと、読み手に自分の状況や気持ちを汲み取ってもらいやすくなります。

どのように書くかより、何を書くかが大事

言葉選びや言い回しに頭を悩ませる前に、まずはどんな素材を選んで書くかを厳選する。

つまり「どのように」書くかよりも、「何を」書くかで表現力は決まります。

立体的に伝わるよう、書く素材を丁寧に選ぶ。それが表現力アップの近道です。

Profile
青野 梢
青野 梢
伝わる文章づくりのパートナー
個人事業のキャリアサポーター
1981年、愛媛県生まれ。住宅設備メーカーで提案型の接客を経験後、31歳のときに未経験からフリーランスのライターに転身。

サンケイリビング新聞社が発行する広告媒体の編集を経て、インタビュー記事の執筆にも取り組む。女性のライフ&キャリアを応援するWebメディア「日経ウーマンオンライン」や「日経xwoman」の執筆・編集にも従事。

専門分野であるキャリア形成を体系的に学ぶため、国家資格キャリアコンサルタントを取得。ビジネス書の編集も手掛ける。これまで書いた記事は800本を超え、インタビューした人は300人以上。

取材相手からは「気づきの多い時間だった」「頭の中をスッキリ整理できた」という言葉をもらうことが多く、対話を通してその人の人生や思いを深く掘り下げることが得意。

現在は約10年のライティング&インタビュー経験を生かし、伝わる文章づくりをサポートするサービス「Amu(あむ)」を展開。起業家・フリーランス向けの文章&発信術や、ライター向けの取材&執筆術を伝えている。
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